最高裁判所第二小法廷 平成7年(行ツ)52号 判決 1999年1月22日
主文
本件附帯上告を棄却する。
附帯上告費用は附帯上告人の負担とする。
理由
附帯上告代理人宮原守男、同坂本寿郎の上告理由について
所論の点に関する原審の事実認定は、原判決挙示の証拠関係に照らして首肯するに足りる。原審の適法に確定するところによれば、附帯上告人のような医薬品製造業者が約三年後の工場移転を余儀なくされる場合には、客観的社会的にみて、通常は、製品の供給停止を可及的に回避すべく、社会通念上相当な企業判断に基づく措置が執られるのであって、附帯上告人も、工場の操業停止に備え、操業停止期間である二箇月分の生産高に相当するストックを増産して営業販売活動を継続したため販売活動にはほとんど影響がなかったというのであり、その他の原審認定事実をも総合してみれば、試験操業期間の営業補償、ストック生産による経費増額分の補償及び平野工場従業員の休業手当相当額を補償すべきであって、製造経費及び研究経費等の固定経費の補償、研究開発活動従事者及び販売管理部門の従業員に対する休業手当相当額の補償並びに利益補償については請求に理由がないとした原審の判断は、正当として是認することができ、その過程に所論の違法はない。論旨は、独自の見解に立ち又は原審の認定に沿わない事実に基づいて原判決を非難するものであって、採用することができない。
よって、裁判官全員一致の意見で、主文のとおり判決する。
(裁判長裁判官 北川弘治 裁判官 河合伸一 福田博 亀山継夫)
【上告理由】 略